エコアクション通信 2021年

月に1回のペースで、従業員のエコに対する意識の向上のために『エコアクション通信』を発行しています。その内容をご紹介します。

*著作権等への対応で、参考元を表示し、写真や図などは割愛(社内発行分には掲載)させていただいています。

12月発行号 「エコアクション21」

エコアクション21は、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステムです。そして、あらゆる事業者が効果的、効率的、継続的に環境に取り組めるよう工夫されています。

西日本建物管理は、2004年11月15日に認証を取得し、認証登録番号は0000019号です。

ごみ総排出量の推移

環境問題への関心が高まっている企業・自治体が増え、「3R(スリーアール)」という言葉をよく聞くようになりました。
3Rとは、「環境にやさしい循環型社会を構築するため、資源を無駄なく繰り返し使う」といった考え方がベースにあります。

◎リデュース(Reduce/減らす)
◎リユース(Reuse/繰り返し使う)
◎リサイクル(Recycle/再資源化する)

資源を何度も利用(リユース)すれば、リサイクルをする必要はなく、廃棄物を発生させなければ(リデュース)、リユースする必要がありません。そのため、3Rの優先順位はリデュース>リユース>リサイクルとなっています。

そこで、私たちが生活していて排出するごみの量がどのようになっているかを調べてみました。うまくリデュース(Reduce/減らす)できているでしょうか。
環境省「日本の廃棄物処理(平成29年度版)」のグラフでは、2000年代初めから少しずつ排出量が減り、1人1日あたりごみ排出量は2000年の1,185g(最大)から2017年には920gにまでなりました。(22.4%減)

11月発行号 

ユーカリの木の繊維を使ったスニーカー│オールバーズ

サンフランシスコ発のスタートアップ企業「Allbirds(オールバーズ)」が開発したスニーカー「ツリー」は、サステナブルなスニーカーとして世界中から注目を集めています。

ツリーの主な素材はユーカリの繊維。ユーカリの調達では、森林や動物を保護するための基準を満たした調達をしていることを示すFSC認証を取得しています。ユーカリは通気性が良く肌触りがいいことが特徴なので、快適な履き心地を演出でます。

ツリーに使用されるユーカリの繊維もサステナブルな原料から作られているので、スニーカーを製作する際に使用する水量も従来のスニーカーに比べて95%少なく、CO2排出量も50%削減しています。

オールバーズは、カーボンフットプリントを排出しない商品作りを実現するため、研究開発を進めています。

Food Paper│五十嵐製紙

Food Paperは、越前和紙の老舗工房「五十嵐製紙」が手掛ける文具(紙製品)です。Food Paperの原料は、廃棄される予定だった野菜や果物が利用されています。

Food Paper開発のキッカケは、昨今における和紙の原料となる植物不足(作り手の減少)と、五十嵐家・次男の自由研究のアイデアでした。食べ物から紙をつくる研究を小学4年生から5年間続けたことが、今回のFood Paper開発につながりました。

廃棄予定だった食材を利用するFood Paperは、国内のフードロス問題に対して「伝統文化」「文具(教育)」の両方からアプローチすることができ、紙製品の可能性を広げると同時にSDGs達成にも貢献することにつながります。

また現在、五十嵐製紙では“オリジナルの紙作り”や“廃棄野菜/果物の受付”も実施していますので、興味のある人はぜひチェックしてみてください。

出典:SDGs media

10月発行号 「『生地の30%は廃棄される』裁断くずをハンガーにアップサイクル」

ファッション分野での持続可能な取り組みとして 今、裁断くずで出来た環境に優しいハンガーが注目されている。

天然素材の洋服が人気で、国の内外に16の店舗を展開するファッションブランド「ネストローブ」。

こちらの店で使われているハンガー、プラスチックや針金ではありません。洋服づくりの過程で出る、裁断くずで出来ています。裁断くずとは、生地を切る際にでる端材。このハンガーは、これまで廃棄していた裁断くずを使って作られている。
このハンガーを手がけたのが、岡山・玉野市に住む岩尾慎一さん(49)だ。

「30%の生地は廃棄」アップサイクル目指して専門ブランド立ち上げ

兵庫県出身の岩尾さんは、東京でアパレル関係の会社に勤務していた頃、洋服の大量生産・大量消費を目の当たりにした。岩尾さんが目指したのは、廃棄物や不用品に新しい価値を与え、魅力的に作り変えるアップサイクル。

岩尾さんは、繊維産業が盛んという理由で8年前に岡山に移住、玉野市でアップサイクル専門のブランドを立ち上げた。

“裏方”だったフェルトを“表舞台”に…さらなる活用法も

生産現場を訪ねる中で、岩尾さんは裁断くずがフェルトに加工されていることを知った。これまでは、自動車や家電の消音剤として裏方の役割で使われていたフェルトだが、もっと表に出せないかと考えた岩尾さん。

活用法を模索していた時に声がかかったのが、フェルトを使ったハンガーの製作だった。岩尾さんは、インテリアなど活用法はさらに広がると可能性を感じている。

(岡山放送)


出典:FNNプライムオンライン


9月発行号 「竹炭パウダーのバウムクーヘン」

今、食べられる「竹炭」に注目が集まっている。陸の豊かさを守り、新たな経済成長も生み出す可能性を秘めた製品です。

放置竹林から“竹炭パウダー”を作成

真っ黒なバウムクーヘンに、チーズケーキ、レモンソーダも。この中に使われているのが竹炭。この竹炭を10ミクロンまで細かく粉砕した、食用の竹炭パウダーを使っている。

無味無臭で細か過ぎるので、口に入れても全く違和感がない。このパウダーの原料である竹炭を作っているのは、大山町にある建設会社「松本建設」。竹炭事業を担当するのは、松本建設の手嶋誠さん。食用としても使えるよう研究を重ね、今では年間約30トンの竹炭を生産。そのうち約7割が県外の業者を経て、竹炭パウダーになり全国へ出荷されている。

竹は大山町の放置竹林で伐採している。放置された竹林は、里山生態系の破壊や根が浅いことによる土砂災害の原因になるとして、全国で問題になっているのだ。これを受け鳥取県は、2008年から伐採経費の8割を負担する政策をスタート。松本建設もこの補助を受け、2015年に竹炭事業に参入した。

「地元の食材を使いたい」洋菓子店が竹炭でスイーツ作り

こうした取り組みは、SDGsの「(15) 陸の豊かさを守る」や「(8) 働きがいも経済成長も」に通じている。

デトックス効果も期待でき、吸湿性は木炭の5倍という竹炭。食用パウダー以外にも、ベッドの材料や土壌改良などにも活用されているが、まだまだ事業として一本立ちには至っていない。

手嶋さんは竹炭パウダーの販路拡大を目指して、このパウダーを年間約100kg買い戻し、地元の飲食店などの業者5社への販売を始めた。

地元、大山町の洋菓子店では…

バウム&クーヘン・新田孝一さん:
良い炭で作られてるいというのが一番、なるべく地元の食材を使いたいという気持ちがあったのでこの日は、竹炭の入ったバウムクーヘンやレモンソーダの試作品が出来上がった。9月から販売予定で、個性的な見た目からハロウィーンシーズンに期待しているという。

「大山竹炭」を全国ブランドへ。厄介者の活用で、持続可能な生態系と経済の循環を目指している。

(出典)FNNプライムオンライン

8月発行号 「脱廃プラ 紙でできたカミソリ」

この春、発売されて即完売したカミソリがあります。脱プラを目指したこの商品。何でできているのでしょうか。

貝印(株)広報担当・古井涼子さん:「紙でカミソリを作るというのが初めての取り組みというなかで、たくさんの製紙メーカーからサンプルを取り寄せて、何度もテストを繰り返して、今の紙にたどり着いております」

刃物メーカー「貝印」は開発に2年の歳月をかけた「紙カミソリ」をこの春、発売しました。刃は金属なのですが、その名の通りハンドル部分が全部紙でできています。水にぬれることが必至のカミソリ。紙で大丈夫なのでしょうか。10分ほど水につけてみましたが、水をはじいています。紙に水が染み込んでいる様子もありません。強度もしっかりしています。

旅行や出張でのニーズを考えて、持ち運びしやすい組み立て式です。そこには、カミソリを作り続けるメーカーならではのこだわりがありました。はがした保護シールを柄に巻くことによって強度を高めるアイデアが採用されています。

貝印(株)広報担当・古井涼子さん:「シールの部分も開発者が非常にこだわっていたところで、シールを最後に巻き付ける首の部分は力がかかって強度が必要な部分なので、そこに強度を持たせることと、保護シールを無駄にしないことを両立するアイデアということで、そういったデザインになっています」

貝印によりますと、4月にオンライン限定で発売した初回分は3日で完売しました。「脱プラ」に共感したという反響が多かったということです。現在、量産に向けた準備が進められています。再版されたら、皆さんも旅行用に試してみてはいかがでしょうか。

(出典)テレ朝ニュース

7月発行号 「ゴミ削減としての、食べられる〇〇」

最近話題になっているユニークなゴミ削減の取り組みを紹介。

まずは、食べられるストロー。もともと中が空洞になったクッキーをストローに応用できないかと、菓子メーカーのブルボンが開発した商品が「コロネクッキー」だ。食用の油でコーティングすることで、25分ほど、ひたひたにならずに飲み続けられるという。

また、食べられる弁当用のカップもある。木村アルミ箔株式会社の商品「カラフル大豆のうつわ」は、大豆の粉末を成形して器にしたもの。カップにおかずを入れ、一緒に食べることでゴミを減らすことができる。他にも、海苔を材料にして作られたカップもあるという。

加えて今では、食べられる箸もある。丸繁製菓の「食べられるお箸(畳味)」は、畳味というユニークな商品。熊本のい草とクッキー生地を合わせて作られているという。

こうしたアイデア商品が開発される中、消費者と共に環境問題に取り組むための商品も出てきた。先日発売されたあるガムは、ケースに工夫があるという。これは、小売業大手のイオンが、菓子メーカーのロッテなどと協業して発売している循環型リユース容器のひとつ。

従来のケースが使い捨てなのに対し、新しく発売されたものは、ステンレス製。繰り返し使えるように開発されたケースで、デザインにもこだわったそうだ。購入後、スーパーマーケットに設置された回収ボックスに返すことで、消費者に容器分が返金されるシステムとのこと。

ゴミ問題をテクノロジーで解決することを目指す株式会社ピリカの代表取締役、小嶌不二夫さんはこう話す。「もしかしたら多少の不便にはつながっているかもしれないけれど、みんながそれを受け入れられる時代になっていると思います。こういった環境問題に対して、無視してしまう企業と、逆にチャンスと捉えて解決策を作る企業に分かれてきていますが、今後生き残るのは後者ではないでしょうか」

消費者としても、こうした企業の取り組みと共に、身近なところから日々の行動を変えていくことができそうだ。

参考HP:Nテレニュース24

6月発行号 「復興支援に貢献する商品」

今年で発売35周年を迎える「午後の紅茶」から、ブランド初となる国内の復興応援につながる商品「午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー」が6月1日から発売される。

「午後の紅茶」ブランドとしては初の国内復興応援型商品で、売上の一部が寄付になる。応援先は2016年の大地震で被害にあった熊本県。1本につき3.9円(感謝=サンキュー)を同県の復興応援のために活用し、地域社会・コミュニティの支援に取り組む。

これはブランド発売35周年のテーマ「幸せの紅茶、35周年の午後の紅茶~あなたに、届け!ありがとう。~」の活動のひとつとして、日々の心ときめく幸せに寄り添う活動とともに、商品と連動した復興応援を通じて顧客への感謝の念を体現した取り組みでもある。

支援金は、「復興応援 キリン絆プロジェクト」の方針に則り、

①「被災地復興支援」として熊本県庁に寄付金を贈呈する

②「食産業支援」として熊本の農産物のブランディングに活用する(JA熊本経済連へ寄付)

③「地域活性化」として、南阿蘇鉄道の復旧、ブランディング支援に活用する(南阿蘇村に寄付)

④「子どもの笑顔づくり支援」として、南阿蘇村での子どもたちの交流、教育環境の整備に活用する(同村へ寄付)

――としている。

今回、新商品の原料に使われる熊本県産のいちご「ゆうべに」という品種は、「復興応援 キリン絆プロジェクト」でブランディングを支援しているものだ。「ゆうべに」は粒も大きく、豊かな香りと上品な甘さと程よい酸味のバランスが特長だ。また、渋みが少なくすっきりと優しい飲み口の熊本県産紅茶葉も一部(5%)使用する。

キリンの加藤さんは「『いつでもお客様に幸せなときめきを届ける』のが、『午後の紅茶』のブランド・パーパス(ブランドの社会的存在意義)です。そのブランディングとして、美味しさはもちろんですが、国産素材を使った特別感や安心感、自分の買った商品が社会貢献につながる実感といった『幸せなときめき』を、お客様に提供できればと考えています」と語る。

私たちの身近な所にも、被災地の復興支援につながる商品は多くあります。もし購入しようとする者があり、同じものでこういった取り組みをしているものがあれば、ぜひともそちらを選んでいただきたいものです。

ちなみに、NTK通信の作成者は、この商品を飲んでみましたが、甘酸っぱくて、スッキリと飲みやすかったです。みなさんもぜひお試しください。

(出典)サステナブル・ビジネス・マガジン・オルタナ

5月発行号 「個人用防護具で傷付けられる野生生物」

”ポイ捨てされた、使い切りの医療用手袋の親指に、パーチと呼ばれる小さな魚が入り込み命を落としていた。”

これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックをきっかけに使われ始めた手袋、マスクなどの個人用保護具(PPE: Personal Protective Equipment)によって、野生生物が傷ついたり死んだりしているというニュース。PPEの多くがプラスチックでつくられていることもあり、屋外にポイ捨てされれば野生生物に大きな影響を与える可能性があるのです。「私たちは今日の健康危機に対処するため、明日の環境危機をつくり出しています」と指摘する声もあります。

パンデミックはまだ続いており、PPEの需要が衰える気配はありません。マスクが行き届くよう、各国は値下げなどの努力を行っています。

ただPPEが浸透し、価格が下がれば、それだけゴミも増加することになります。実際に、清掃ボランティアがたった1日で100枚以上の屋外に捨てられたマスクを見つけることもあったとのこと。

マスクであれ、使い捨ての手袋であれ、プラスチックは環境中で分解されない。その代わり、マイクロプラスチックと呼ばれる小さな破片になると、動物の肺や胃に取り込まれることがあり、感染症や閉塞(へいそく)を引き起こす恐れがあります。動物の体がプラスチックを代謝しようとした場合、浸出した化学物質に傷つけられ、死に至ることさえあるのです。

使い捨てのマスクから、再度洗って使用できる再利用可能なマスクに変えるだけで、PPEごみの量に大きな違いをもたらすことが期待されます。可能であればマスクを再生可能なものに変えてみてはどうでしょうか。

そして、使い捨てのマスクなどは、野外にポイ捨てをするのではなく、きちんとごみ箱に捨ててください。一般的に、マスクをはじめとするPPEはリサイクル不可能な製品なのですから。

4月発行号 「プラスチックの代わりになる漆」

『再生可能な地上資源、漆の新たな可能性の探求』

ウルシノキは東・東南アジアのごく限られた地域でのみ生息する樹木です。樹液は塗料や接着剤などとして使われてきました。漆でかぶれる方もいますが、いったん乾燥すればアレルギーを引き起こすこともなく、ガラスと同程度まで固くなり、酸、アルカリ、熱にも溶け出すこともなく抗菌作用もあります。

また採取、精製、塗り、乾燥という漆の利用工程においても大量の水や電気を使うこともなく、有害物質も出しません。漆は安全・安心・エコにも貢献する極めて優れた素材なのだそうです。

そんな中、注目されたのが、奈良時代に興福寺阿修羅像や東大寺法華堂不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)立像など数多くの仏像制作に使われ、その後廃れてしまった漆の技法「乾漆」です。麻や綿などの繊維に漆を塗りそれを何重にも重ねる技法です。自由に造形できて強固である一方、とても軽いのが特徴です。

この技法を使いプラスチックの代替品を作れば海洋プラスチック汚染などの解決につながるのではないかと考えられ、漆と木綿だけでできた乾漆プラスチックフリーカードを作成。漆特有の質感と抗菌作用がありながら、プラスチックと同等かそれ以上の強度と耐久性があるものが出来たのです。

ICチップの埋め込みや印刷も可能で、もし海に流れ込んだとしても生分解されますので、プラスチックのように残り続けて環境汚染を引き起こすことがありません。 

漆は塗料や接着剤として長い歴史がありますが、こうした従来の用途以外の応用についてはほとんど研究されてきませんでした。持続可能性が問われている現在、天然素材の漆の価値を再評価されるべきだともいえます。この乾漆のカードを一つのきっかけとして、漆を漆器の製造や文化財修復といったこれまでの用途にとどめることなく、世界が抱えている課題の解決につながる新しい素材としての研究、開発を進めて行ってもらいたいです。

漆に新しい価値が見いだされれば、地下資源に乏しいわが国に、枯渇しない再生可能な地上資源が生まれます。持続可能な社会に向けて漆=Japanが活躍する未来を期待したいと思います。

(出典HP)https://www.urushinext.org/

3月発行号 「竹で作られたトイレットペーパー」

竹で作られたトイレットペーパー「Bamboo Roll」を使うと、環境問題への取り組みになる?

代替資源として注目を集める「竹」

誰もが毎日のように使用しているトイレットペーパー。生活において必要不可欠なものである一方、再生紙由来のものを除けば、新たに森林を切り出しながら生み出されるため、その環境負荷の高さは課題とされている。そして、環境保護の取り組みを行う団体、NRDCが2019年に行った調査によれば、日本人のトイレットペーパー消費量は、なんと世界で4番目に多いとのことだ。

そんな中、長野県にある「おかえり株式会社」はトイレットペーパーにおける環境問題解決に取り組むべく、竹を使用したトイレットペーパー「Bamboo Roll」(バンブーロール)の販売を開始した。

竹は木と比べ圧倒的に成長スピードが早く、通常、木が10年以上かかって成木になるところ、竹は3年ほどで成竹となる。さらに竹は少量の水で成長することなどから、木材やプラスチックに代わる資源として注目が集まっている。

環境問題に取り組んでみたいが、なにから始めたらいいかわからない、という人にお勧めしたい製品となります。

以前に放置竹林問題を上げましたが、バンブーロールみたいに竹を原材料としたものが広まれば、放置竹林問題も少しは解消されていくかもしれませんね。

参考 : Bamboo Roll

2月発行号 「廃棄物をストーリーある製品に」

規格外の「廃棄フルーツ」を試行錯誤でグミに加工

「山に捨てられていた大量の柿。その鮮やかなオレンジ色が忘れられません」と話すのは、猪原有紀子さん。たまたま訪れた和歌山県かつらぎ町で、特産の柿が規格外品ということで山に大量に捨てられている光景を目にしてショックを受ける。「これで無添加のグミをつくろう」と一念発起。市販のフルーツ乾燥機などを使って試行錯誤したが、ドライフルーツになってしまい、グミらしい食感は残せなかった。

その中で、大阪市立大学と共同で、湿度や温度を調整しながら最大48時間かけて乾燥させることで、果物本来の色鮮やかさと自然な甘み、そしてグミの食感が残る製品の開発に成功した。昨年1月にインスタグラムを通じて情報を広げるアンバサダー100人を募集し、試作品を食べてもらいながら意見を集め、製品の質を上げていった。そして同年10月に「無添加こどもグミぃ~。」として本格販売した。

 これまでにも余剰・廃棄果実を使ってジュースやジャムにする取り組みはあったが、「モノがあふれる時代。子育て中の悩みや葛藤で生まれた無添加グミが共感を生み、購入者の獲得につながった」と話す猪原さん。現在、柿のほか、キウイやブルーベリー、リンゴなど、旬の廃棄フルーツを町内の9農家から買い取り、和歌山市内の福祉施設でグミとして加工するなど、地元の雇用確保にも貢献している。大阪市内の調理専門学校との共同開発で、廃棄された桃を使った無添加アイスクリームの製品化にも取り組む予定だ。

サステナブル・ビジネス・マガジン・オルタナより

1月 休刊