エコアクション通信 2022年

月に1回のペースで、従業員のエコに対する意識の向上のために『エコアクション通信』を発行しています。その内容をご紹介します。

*著作権等への対応で、参考元を表示し、写真や図などは割愛(社内発行分には掲載)させていただいています。

12月 休刊


11月発行号 「サステナブルファッション」

ファッションのあり方をアップデートして、次世代の環境につなげよう

ファッション産業は、製造にかかるエネルギー使用量やライフサイクルの短さなどから環境負荷が非常に大きい産業と指摘されており、国際的な課題となっています。そして、衣服の生産から着用、廃棄に至るまで環境負荷を考慮したサステナブル(持続可能)なファッションへの取り組みは、近年急速に拡がっています。

一方、日本においては、そのような取り組みはまだ限定的なのが現状です。そこで、環境省は2020年12月〜2021年3月に、日本で消費される衣服と環境負荷に関する調査を実施。私たちの衣服の背景をしっかりと見つめることから、生活者として、企業として、どのようにして改善できるかを考えていきましょう。


サステナブルファッション:

衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのことを言います。このWebサイトでは、環境への影響にフォーカスを当てています。私たち一人一人がその改善に取り組み、持続可能なファッションをつくっていきましょう。

私たちが店頭で手に取る一着一着の洋服、これら服の製造プロセスでは原料となる植物の栽培や染色などで大量の水が使われ、生産過程で余った生地などの廃棄物も出ます。服一着を作るにも多くの資源が必要となりますが、大量に衣服が生産されている昨今、その環境負荷は大きくなっています。

参考:環境省HP

10月発行号 「サステナブルって何?(後編)」

後編:「サステナブルな暮らしをするための5つの行動」

サステナブルな社会を実現するためには、私たち一人ひとりの行動がとても重要になります。

一人ひとりが地球環境に優しい行動を行うことで、美しい地球を守り続けながら、豊かな暮らしを維持できることにつながります。

【節電・節水を心掛ける】
電気や水は、作られたり使われたりする際にたくさんのエネルギーが消費されます。
まずは使っていない家電の電源を切ったり、シャワーの水を出しっぱなしにしたりしないなど、無駄遣いをなくすことから意識してみましょう。

【マイバックやマイボトルを活用する】

プラスチックごみによる海洋汚染問題が特に深刻です。
プラスチックごみを減らすために、マイバックやマイボトルを持ち歩いて、プラスチック袋をはじめ、使い捨てプラスチック製品の使用頻度を少なくするよう意識しましょう。

【フードロスを減らす】

本来は食べられるのに捨てられる食品、いわゆるフードロスの量は、1人あたりで考えると年間で約47㎏にもなり、これは毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てているのと同じ量です。
フードロスを減らすために、買ったものはきちんと使い切ること、安いからといってまとめ買いをせずに消費できる量だけを買うことなどを意識しましょう。

【再利用・リサイクルする】
サステナブルな暮らしを目指すなら、ゴミに対する取り組みとして3Rが大切です。3Rとは、リデュース・リユース・リサイクルのことを指します。
3Rを意識することで、ゴミが減り、処分による環境への悪影響を軽減することができます。

【持続可能なエネルギーを使う】

日本の主なエネルギー源である、石炭・石油・天然ガスなどの燃料は、資源に限りがあります。
再生可能エネルギーとは、太陽光・風力・バイオマスなどのエネルギーを指します。資源が枯渇しないことから、世界中で注目されているエネルギーです。

9月発行号 「サステナブルって何?(前編)」

■サステナブルな暮らしとは

最近見聞きすることが増えた「サステナブル」ですが、どのような意味を持っているのかご存知でしょうか。

サステナブルとは、直訳すると“持続可能な”という意味です。「維持できる」や「持ちこたえる」などを意味する形容詞ですが、近年では地球環境や経済システム、社会の文明の持続可能な発展のことを指して多く使われています。

つまりサステナブルな暮らしは、今ある自然や資源を守りつつ、豊かな暮らしを続けられるように生活する、ということです。

■サステナブルな暮らしはなぜ求められている?

世界人口の増加や経済活動などに伴って、地球環境にかかる負荷がますます大きくなっています。このままでは人間が安全に生活できなくなる可能性があり、状況の改善が求められているのです。

「生物多様性の損失」

人間の社会活動の影響が主な原因で、多くの生物が絶滅している。絶滅のおそれのある野生生物は現在2万5,821種に達している。

「土地利用の変化」
1990年から2015年までの25年間で、約1億2,900万ha(日本の国土面積の3.4倍)の森林が世界で減少している。森林の減少は南米やアフリカで多く発生しており、人口増加や貧困を背景とした森林から農地への転用などが主な原因。

「窒素の生物地球化学的循環」
化学肥料の生産や農作物の栽培などによって、大量の窒素化合物が環境中に放出されている。窒素化合物は形を変えながら地下水や川を経て海に流出し、海の富栄養化や地下水の汚染を引き起こす。また、大気中に放出された窒素酸化物は酸性雨や気候変動の原因とも言われている。
※生物地球化学的循環:窒素などの物質が、大気圏などを経由して移動すること

上記の通り、地球環境は大きな変化を迎えつつあります。

今までのような暮らしでは、地球が持たなくなるという考えから、世界的にサステナブルな暮らしが注目されているのです。

8月発行号 「認知症予防が期待できる?『トリゴネコーヒー茶』」

澤井珈琲(鳥取・境港市、澤井幹雄社長)はこのほど、不可能とされていた寒冷地・鳥取でコーヒーの木2万本の生育に成功した。その葉を原料に無農薬の「トリゴネコーヒー茶」を増産し、2024年には体験型見学施設のオープンを目指す。相談役の澤井由美子さんは、地元産コーヒーを通して地域の健康増進や産業振興に貢献したいと、今後を見据える。

このトリゴネコーヒー茶を作成されたきっかけとなったのが、コーヒー豆に含まれる「トリゴネリン」という成分の研究発表で、この成分が脳を活性化させ、認知症予防を期待できるということだそうです。

澤井珈琲で「トリゴネコーヒー茶」の開発が始まるが、原料葉の調達がネックとなった。生の葉は検疫の関係で輸入できず、乾燥葉にも農薬が含まれている。安全性を担保するには、地元で無農薬品を作るしかない。

しかしコーヒーは赤道付近の温暖な地域(ブラジル、ベトナム、コロンビアなど)でなければ栽培できない。国内ではネスレが取り組む「沖縄コーヒープロジェクト」など、わずかな事例があるのみで、栽培には少なくとも20℃の平均気温が必要で、平均気温15℃、冬は氷点下になる鳥取では難しい。

そんな中澤井珈琲では、上記の問題をクリアしてコーヒーの栽培に成功し、商品化できるようになったのです。

皆さんも認知症予防のため、トリゴネコーヒーやトリゴネコーヒー茶を飲んでみてはいかがでしょうか。


参考:中澤井珈琲HP

7月発行号 「脱プラスチックを目指す取り組み」

■植物性のものなら何でも原料になる新素材「モドセル」

いま、石油系プラスチック削減対策として、「バイオプラスチック」に注目が集まっています。しかし、バイオマス(生物由来)原料がわずかしか使われていないものや、ポリ乳酸など自然環境では分解しないものも少なくありません。
有料化されたレジ袋についても「生物由来原料25%含むだけで有料化の対象外になる」という緩い規制を問題視する向きもあります。

そんな中、アミカテラは植物性でかつ自然環境でも分解する新素材「モドセル」(modo-cell)を開発しています。モドセルの主原料は、竹などを粉にして取り出した繊維。このほかコーヒーかす、製材で出る木くず、ミカンの絞りかす、籾殻、そば殻など植物性のものなら何でも原料になります。

もしゴミになって散乱した場合でも、自然界で分解するため、マイクロプラスチック汚染の心配もほぼない。成型品は使用後に粉砕し、ペレットに戻すことも可能だとのこと。

プラ製使い捨て食器の店内提供を禁止している台湾では、高速道路のサービスエリアやラーメン店など、多くの飲食店が「モドセル製食器」を繰り返し使用している。台湾のコンビニではモドセル製の簡易食器を販売し、それを使ってコーヒーを買う人も多いとか。

このモドセルは、自然環境で6ヶ月もあれば完全に土に分解されることも実証済みとのこと。また、ワタミではこのモドセルのストローをすでに使用されているとのこと。多くの有名企業も出資していて、これからの盛業が期待される製品です。

皆さんも、脱プラスチックの一環として、こういったものを使用されてみてはいかがでしょうか。

参 考 :    「AmikaTerra」 HP

6月発行号 「ブルーカーボンとグリーンカーボン」

ブルーカーボンとは、海洋生物の作用により、大気中から海中へ吸収された二酸化炭素由来の炭素のことです。以前は、海洋・陸域を問わず、生物により吸収・貯留される炭素はすべて「グリーンカーボン」と呼ばれていました。しかし現在では、陸域生物により吸収・貯留される炭素を「グリーンカーボン」、海洋生物により吸収・貯留される炭素を「ブルーカーボン」と呼び分けるようになっています。

生物による二酸化炭素の吸収というと、多くの人はうっそうとした森林など、陸域の生物を思い浮かべることでしょう。しかし、実は海洋でも、陸域と同じように二酸化炭素が生物により吸収されています。ブルーカーボン生態系はグリーンカーボン生態系と比較して、最大40倍の速さで炭素を貯蔵します。したがって、ブルーカーボン生態系の方が大気中のCO2の吸収能力は高く、地球上の生物が排出するCO2の約30%を吸収すると言われています。一方、グリーンカーボン生態系のCO2の吸収能力はブル—カーボン生態系より低く、地球上の生物が排出するCO2の約12%を吸収するに過ぎません。ブルーカーボン生態系はグリーンカーボン生態系と比べて、遥かに効率的に炭素を貯留できるのです。

ブルーカーボンの最大の吸収源は沿岸浅海域(えんがんせんかいいき)に広がるマングローブ林や塩性湿地、海草藻場(うみくさもば)で、ここで光合成により吸収されたCO2は、有機炭素として生物の体内を経て、海底に長期にわたって貯留されます。これらの面積は海洋全体のわずか0.5%以下に過ぎないにもかかわらず、貯留する炭素の量は、海洋全体が年間に貯留する量の8割近くになります。

近年、マングローブ林の保護や藻場の再生が叫ばれているのは、こうした理由があります。

参 考 :    NTT 「Beyond Our Planet」 HP、ブルーカーボンプロジェクト HP

5月発行号 「プラスチック資源循環促進法、何が変わる?」

今年の4月から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」、略して「プラスチック資源循環促進法」または「プラスチック新法」が施行されました。この法律の施行に伴い、私たちの周りでも少しずつ変化が起きています。今回は、プラスチック資源循環促進法について、わかりやすく解説します。

プラスチック資源循環促進法は、日本国内のプラスチックを規制する法律ではありません。事業者や自治体が、プラスチック製品の設計から製造、使用後の再利用までのすべてのプロセスで資源循環していくための法律です。したがって、根底には「そもそもゴミを出さないように設計する」というサーキュラーエコノミー(循環経済)の考えが取り入れられ、基本原則としておなじみの3R(リデュース、リユース、リサイクル)に加えて「リニューアブル(再生可能)」を掲げています。

これによって、基本的にプラスチックの不必要な使用はしないこと、どうしても必要なら、再生素材や再生可能資源(紙、バイオマスプラスチック等)などの再生できるものにきり帰ることを求められます。 ⇒ 今回定められた『リニューアブル』要素

4月から特定プラスチック使用製品として12品目が定められました。

  1.フォーク

  2.スプーン

  3.ナイフ

  4.マドラー

  5.ストロー

  6.ヘアブラシ

  7.くし

  8.カミソリ

  9.シャワー用キャップ

  10.歯ブラシ

  11.ハンガー

  12.衣料用カバー


1~5はコンビニやファーストフード店などで使われるもので、6~10はホテル、11と12はクリーニング店など使われるものです。

4月に入って各業種とも対応が進んでおり、ビジネスホテルではヘアブラシやカミソリ、歯ブラシは浴室に置かず、チェックイン時に必要な人が持って行く形式に変わりました。また、スーパーでもらうヨーグルトのスプーンもプラスチック製から紙製に替わりました。

私たちも、事業者や自治体の取り組みを理解し、プラスチック資源循環促進法の趣旨を理解して、協力していくことが必要だと思います。


4月発行号 「SDGsを知り、行動しよう!」

最近よく耳にする「SDGs」。SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)は、2015年9月に国連で採択された世界共通の目標です。2030年の達成を目指して定められた17の目標と、それを支える169の具体的なターゲットが盛り込まれています。

また現在、「SDGs未来都市」というも「のが選定されています。岡山県では、真庭市、岡山市、西粟倉村、倉敷市の4都市(選定順)が「SDGs未来都市」です。このSDGs未来都市は、SDGsの理念に沿った基本的・総合的取り組みを推進しようとする都市や地域の中から選ばれており、持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市や地域という評価なのだそうです。

そして、SDGsに関して、私たちにできることはいろいろあります。例えば、プラスチックごみを削減することは、「目標14:海の豊かさを守ろう」につながります。そのために私たちにも右のようなことができます。

まず、私たちが毎日使っているプラスチックの量を調べてみます。いったいどれくらいの量のプラスチックを使用して廃棄しているのかを認識してみることが重要です。

そして、なくてよい、使わなくてもよいプラスチックはないかを考えてみるのだそうです。既に、レジ袋はマイバッグや家にあるレジ袋の再利用などをしていると思います。シャンプーなどは詰め替え用の製品を購入することもプラスチック使用量の削減につながります。

少しずつこうした取り組みをしていきましょう。

出 典 : 公益財団法人 岡山県環境保全事業団 「環境」 Vol.387、Spring 2022

3月発行号 「食品小売業で出る食品ロスを減らそう」

本来食べられるのに捨てられてしまう食品を「食品ロス」と言います。食べ物を捨てることはもったいないですし、環境にも悪い影響を与えています。この「食品ロス」の量は年間570万トンにも上ります(令和元年度推計値)。この量は、日本人の1人当たり年間約45kgの食品を廃棄していること相当し、毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てているのと近い量なのだそうです。この中で、スーパーマーケットなどの食品小売業で発生する「食品ロス」は64万トンになっています。

私たちはスーパーマーケットなどで食品の「賞味期限」や「消費期限」というものを目にし、気にしながら購入しています。この「賞味期限」と「消費期限」に次のような違いがあります。

賞味期限:おいしく食べることができる期限

袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。この期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。

消費期限:期限を過ぎたら食べないほうがいい

袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「安全に食べられる期限」のこと。

そして、食品ロス削減に向けた消費者による取組の1つとして、「すぐに食べる」商品については、賞味期限や消費期限がより長い商品を選択的に購入するのではなく、陳列順に購入することが挙げられ、このような消費行動を消費者に訴えかける運動が始まっています。環境省が、「すぐたべくん」というキャラクターのポスターを作成し、利用できるようになっています。

出 典 : 環境省、農林水産省HP

2月発行号 「アルミ缶のリサイクル」

私たちが毎日のように手にする飲み物の容器には、ペットボトルやアルミ缶、スチール缶、紙パックなどがあります。そして、それぞれの容器にはリサイクルのルートが作られています。

中でもアルミ缶はリサイクル率が非常に高い容器で、2020年には218億本が出荷され、そのうちの94%がリサイクルされました。そして、リサイクルされたアルミニウムの7割近くが、再びアルミ缶となって私たちの手元に届いています。

アルミニウムはボーキサイトから作られますが、精製時に大量の電力を必要とします。しかし、アルミ缶からのリサイクルでは、消費電力は約3%ととなり、97%の省エネとなります。

アルミ缶リサイクル協会のホームページには、アルミ缶をリサイクルするうえでの注意事項が3点掲載されていました。

◎タブは取らないでリサイクルに・・・タブもアルミニウムです。少しでもリサイクルに。
◎アルミ製のボトルは、キャプを閉めてリサイクルに・・・アルミボトル缶のキャップもアルミニウムです。内側のプラスチックシールはそのままで構いません。
◎アルミ缶を灰皿代わりにしないで・・・リサイクルの妨げになります。

参 考 : アルミ缶リサイクル協会HP

1月発行号 「4月からプラスチック新法スタート!」

2020年に始まったレジ袋の有料化。皆さんもエコバッグなどを利用して、レジ袋の使用量の削減に協力しておられると思います。環境省によると、レジ袋の辞退率はコンビニでは23%から70%に増え、レジ袋流通量全体としては35%減少したそうです。

しかし、プラスチックごみはまだまだ大きな問題を抱えており、その対策として、今年4月からプラスチック新法(プラスチック等に係る資源循環の促進等に関する法律)がスタートします。

この新しい法律の施行を前に、プラスチックごみ問題について確認しておきましょう。

プラスチックは軽くて耐久性があり、安価な素材のため、私たちの生活にはなくてはならないものとなっています。しかし、容易に分解されないため、自然界に放出されると、いつまでも残ってしまいます。現在、廃棄は焼却や埋め立ての方法が採られていますが、自然環境にそのまま出てしまっているものも増えています。
そして、このままでは「2016年1月のダボス会議の報告では、2050年までに海洋中に存在するプラスチックの重量は、魚の総重量を超える」とも。

日本では「プラスチック資源循環戦略」の中で削減目標を立てており、その実施のために今年4月からプラスチック新法が施行されます。

プラスチック製品を年5トン以上使う大手事業者は対策が義務化され、5年ごとにプラごみが減ったかを評価されます。対応例と対象品例は右に示す通りです。
私たちも協力していかなくてはならないことが出てくると思われます。

出典:岡山のエコマガジン「環境」 2021 Winter Vol.386